空井戸とスッポン

 空井戸とは、舞台と花道の付け根に構えた半間四方の空枠です。現代の劇場では姿を消してしまった舞台機構のひとつで、江戸時代、上方の劇場に設けられたといいます。舞台下の奈落に通じており、井戸や池などに見立てたり、役者の出入り、早変わりなど、空井戸の機構を使い自由自在に舞台演出ができ、その様式を残しているのは旧金毘羅大芝居だけだそうです。
 スッポンとは、花道の七三(舞台から三分、揚幕から七分の位置)の位置にある小さなセリ=i0.8m)×(0.6m)という切り穴のことです。旧金毘羅大芝居では人力で上下に動かします。スッポンという呼び方はせり上がってくる役者が、スッポンが首を出す様子を連想させるところから付けられたものだといわれています。主に幽霊、妖怪、妖術使いなどが登場する時に使用されます。

空井戸とスッポン